2005年11月08日
キナバル山で世界屈指の過酷な山岳マラソンを観戦!-雑誌『Tarzan』ライター/謝 孝浩さん
スカイランナーって知っていますか? なんか詩的でカッコイイ響きだと思いませんか? 実は山岳レースに参加するアスリートたちの呼び名なのです。
世界中のスカイランナーが集まる「クライマソン」という山岳レースの取材で、ボルネオ島に行ってきました。レースの舞台は、東南アジア最高峰のキナバル山です。


クライム(登山)とマラソンとを合わせ持つ競技として名づけられたこのレースは、毎年10月に行われ、今年で19回目を迎える歴史ある大会です。1800mのスタート地点から空気の薄い4095.2mの山頂までを往復する世界屈指の過酷なレース。驚いたことに、トップ選手は3時間足らずでゴールするといいます。
僕ら取材班は、キナバル登山の通常と同じ日程で、競技コースでもある登山道を前日から登りました。熱帯に位置するキナバル山は、世界遺産に登録されているだけあって、自然の宝庫だと思いました。美しいランや珍しい食虫植物の生える熱帯雨林は鬱蒼としていたのに、そのうちに湿気の多い雲霧林帯になり、標高3200mのラバンラタ小屋付近は低木帯へと変化していきます。標高によってさまざまな表情を持つ山だということを実感しました。その晩は、この小屋に泊まったのですが、まさかホットシャワーを浴びることができるとは。山小屋とは思えぬほど快適な設備でした。
翌日は、まだ真っ暗な午前3時に山頂を目指しました。山頂に着いたのが午前6時。峰々の彼方から、ちょうど太陽が昇ってくる時でした。森林限界はとっくに越えているので、花崗岩がむき出しのゴツゴツした岩肌の急斜面が眼下に広がっています。遥か下には、ジャングルや南シナ海まで望めます。山頂に立っていると空の中に浮いているような感覚になりました。雲海の遥か上から拝むご来光は、荘厳な気分にさせられました。
幻想的な風景の中で、待つこと2時間半。スカイランナーたちが、岩肌のステージへと姿を現しました。レース開始時間が7時なので、僕らが2日かけて青息吐息で登ってきた登山道を、わずか1時間半で駆け上がってきたことになります。すごすぎる!!
山頂で折り返して、選手たちは次々と同じ道を駆け下っていきます。その姿は、鳥が羽を広げて翔んでいくかのよう。まさにスカイランナーでした。
優勝したのは、メキシコの選手。日本人では、日本の山岳マラソン界第一人者の鏑木 毅選手が10位に入賞しました。
ポーリン温泉で疲れを癒したり、自然観察ルートを散策したり、マーケットに並ぶ熱帯の色とりどりの旬の果物を堪能したりと、選手たちは、思い思いにアフターレースを楽しんでいました。登山をしなくても、キナバル山麓一帯には、魅力が溢れています。


ヘロヘロになりながら、なんとか下山して、僕らも大いにキナバル山麓の自然を満喫しました。その最大の収穫が、あの幻のラフレシアに出会えたことです。一瞬見たときは、花だとは思えませんでした。オドロオドロしいその姿に、熱帯のもつエネルギーの底力のようなものを感じました。めったにお目にかかれないと聞いて、運の強さに感激。きっと汗をかいて、富士山よりも高いキナバル山に登り、自然に親しんだご褒美だったかもしれませんね。
来年は、クライマソンの開催日にあわせて日本からのツアーも企画中だとか。レース参戦は無理にしても、スカイランナーを観戦に、ボルネオを訪れてみてはいかがですか?
(詳しい記事は、11月22日発売の『Tarzan』455号に掲載しています)。
写真:本多ジェロ
投稿者 管理人 : 2005年11月08日 09:36